請求書の確認方法完全ガイド|インボイス制度対応チェックリスト
請求書の確認方法を経理初心者向けに解説。インボイス制度への対応、7つの必須チェック項目、突合の手順、AI活用による効率化まで詳しく紹介。
請求書の確認は、経理業務の中でも最も重要なタスクの一つです。
特にインボイス制度が導入されて以降、確認すべき項目が増え、経理担当者の負担は増大しています。
この記事では、請求書確認の基本から、インボイス対応、突合の手順、そしてAIによる効率化までを詳しく解説します。
請求書を確認する4つの目的
目的1:過払い・二重払いの防止
既に支払済みのものや、二重に請求されているものがないか確認します。
| リスク | 影響 | 発見タイミング |
|---|---|---|
| 二重払い | 返金手続きが必要 | 支払後(手遅れ) |
| 過払い | キャッシュフローへの悪影響 | 決算時 |
| 請求漏れ | 取引先との関係悪化 | 督促時 |
目的2:仕入税額控除の適用
インボイス制度(適格請求書等保存方式)に基づき、正しく消費税の控除を受けるために必要です。
要件を満たさない請求書では、仕入税額控除が受けられません。
| 状況 | 控除 |
|---|---|
| 適格請求書あり | ✅ 全額控除 |
| 適格請求書なし | ❌ 控除不可(経過措置期間は一部可能) |
目的3:不正請求の検知
取引のない架空請求や、身に覚えのない請求を排除します。
| 不正のパターン | 対策 |
|---|---|
| 架空請求 | 発注記録との照合 |
| 水増し請求 | 契約単価との照合 |
| 二重請求 | 請求書番号の重複チェック |
目的4:決算の正確性担保
正確な費用計上のために、期間や勘定科目が正しいか確認します。
【必須】請求書チェックリスト10項目
請求書を受け取ったら、以下の項目を確認しましょう。
1. 宛名(自社名称)
自社の正式名称(法人名・屋号)が正しく記載されているか。
- ✅ 「株式会社〇〇」
- ❌ 「(株)〇〇」(略称は不可の場合あり)
- ❌ 別の会社名
- ❌ 旧社名
2. 適格請求書発行事業者登録番号
T+13桁の数字が記載されているか。
例:T1234567890123
確認方法:国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で検索
注意:登録番号が載っていても、有効かどうかは別途確認が必要です。
3. 発行者情報
請求書を発行した事業者の情報が正しいか。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 事業者名 | 契約先と一致しているか |
| 住所 | 以前と同じか |
| 連絡先 | 変更されていないか |
4. 取引年月日
商品の納品日やサービスの提供日が正しいか。
- 自社の記録と一致しているか
- 月をまたぐ取引の場合、正しい期間か
- サービス提供期間の記載があるか
5. 取引内容(品目)
購入した商品やサービスの内容が正確か。
- 発注した商品と一致しているか
- 明細の漏れはないか
- 品目の表記は明確か
6. 数量
発注・納品した数量と一致しているか。
| 確認 | 方法 |
|---|---|
| 発注数量 | 発注書との照合 |
| 納品数量 | 納品書との照合 |
| 請求数量 | 請求書の記載 |
3つが一致していることを確認(3ウェイマッチング)
7. 単価
契約・見積もりの単価と一致しているか。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 基本単価 | 契約書・見積書と一致 |
| 値引き | 適用されているか |
| 割増 | 正当な理由があるか |
8. 金額(税込・税抜の整合性)
計算が合っているか。
| 確認項目 | 計算 |
|---|---|
| 明細金額 | 単価 × 数量 |
| 小計 | 明細の合計 |
| 消費税 | 小計 × 税率 |
| 合計 | 小計 + 消費税 |
9. 適用税率(8%・10%の区分)
税率ごとに合計額が記載されているか。
| 税率 | 対象 |
|---|---|
| 10% | 一般的な商品・サービス |
| 8% | 食品・新聞など(軽減税率対象) |
混在している場合は、それぞれの税額が正しく計算されているか確認
10. 支払い期限と振込先
契約通りの期限か、振込先に間違いはないか。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 支払い期日 | 契約条件と一致 |
| 振込先口座 | 以前と同じか |
| 口座名義 | 請求者と一致 |
振込先が変更されている場合は、電話などで直接確認を推奨
インボイス制度で追加された確認項目
2023年10月のインボイス制度開始により、追加で確認が必要な項目があります。
必須記載事項(適格請求書の要件)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 発行事業者の氏名・名称 | 法人名または屋号 |
| ② 登録番号 | T+13桁 |
| ③ 取引年月日 | 商品の引渡し日等 |
| ④ 取引内容 | 商品名・サービス名 |
| ⑤ 税率ごとの対価の額 | 10%分、8%分それぞれ |
| ⑥ 税率ごとの消費税額 | 10%税額、8%税額 |
| ⑦ 交付を受ける事業者の氏名・名称 | 自社名 |
1つでも欠けていると、仕入税額控除が認められないリスクがあります。
よくある不備パターン
| 不備 | 対処 |
|---|---|
| 登録番号の記載漏れ | 発行者に再発行を依頼 |
| 税率区分がない | 8%・10%の内訳を確認 |
| 税額計算が合わない | 端数処理の確認 |
実務で差がつく「突合」の確認手順
形式のチェックが終わったら、次は「中身」が実態と合っているかを確認します。これを**「突合(とつごう)」**と呼びます。
Step 1:発注書(PO)との照合
「いくらで、何を頼んだか」を記録した発注データと比較。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 単価 | 見積もり・契約と一致しているか |
| 数量 | 発注数量と一致しているか |
| 品目 | 発注した商品か |
| 発注日 | 請求書の日付と整合するか |
Step 2:納品書・検収メールとの照合
「本当に物が届いたか(サービスを受けたか)」を確認。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 数量 | 納品数量と一致しているか |
| 品質 | 問題なく検収されたか |
| 日付 | 納品日と請求書の取引日 |
Step 3:契約書との照合
継続取引の場合、契約条件と一致しているか。
| 確認項目 | チェック内容 |
|---|---|
| 単価 | 契約単価と一致 |
| 支払い条件 | 月末締め翌月払い等 |
| 値引き条件 | ボリュームディスカウント等 |
Step 4:前月残高・過去履歴との比較
「いつもより異常に高くはないか」を確認。
| 比較対象 | 確認内容 |
|---|---|
| 前月同期 | 大幅な増減がないか |
| 前年同期 | 季節変動は想定内か |
| 月平均 | 突出していないか |
AIを活用すると、過去の平均的な取引額からの乖離を自動で検知できます。
請求書確認を効率化する5つのコツ
コツ1:PDF(電子データ)での受領を徹底
- 紛失リスクがない
- 検索が容易
- 保管コストが低い
- OCR処理が可能
コツ2:チェックリストを標準化
- 人によって確認する箇所がバラバラだとミスが起きやすい
- チーム内でチェックリストを共有
- 新人でも同じ品質で確認できる
コツ3:承認フローを明確化
| 金額 | 承認者 |
|---|---|
| 〜10万円 | 担当者のみ |
| 10〜50万円 | 課長承認 |
| 50万円〜 | 部長承認 |
コツ4:定期的な取引先マスタ更新
- 登録番号の有効性確認
- 振込先情報の更新
- 契約条件の見直し
コツ5:AIによる自動判定を導入
- 形式要件のチェックを自動化
- 発注データとの突合を自動化
- 例外だけを人間が確認
Totsugoによる請求書確認の自動化
機能1:発注データとの自動マッチング
AIが「取引名」や「金額」から、対応する発注データを自動で見つけ出します。
| 請求書 | 発注データ | AI判定 |
|---|---|---|
| (株)ABC ¥100,000 | 株式会社ABC ¥100,000 | ✅ 一致 |
| XYZ商事 ¥50,000 | XYZ商事 ¥50,000 | ✅ 一致 |
表記揺れを自動で吸収するため、前処理は不要です。
機能2:異常検知
- 単価が過去より10%以上高い
- 前月と同じ請求書が届いている(二重請求の可能性)
- 登録番号が無効になっている
→ AIが自動でアラート
機能3:Enterキーで承認
AIが「OK」と判定したものは、キーボード一つで次々と処理。
Enter連打で月末処理が終わる世界へ。
よくある質問
Q. インボイス制度の経過措置期間中はどうすれば?
A. 2029年9月30日までの経過措置期間中は、免税事業者からの仕入れについても一部控除が認められます。ただし、仕入先の登録状況は必ず確認してください。
Q. 小規模事業者への簡易請求書で対応できる?
A. 小売業、飲食業、タクシー業など一定の事業については、宛名不要の簡易請求書でOKです。
Q. 電子保存の要件は?
A. 電子帳簿保存法に基づき、タイムスタンプや検索要件を満たす必要があります。
まとめ
請求書確認の10チェック項目
- 宛名(自社名称)
- 登録番号
- 発行者情報
- 取引年月日
- 取引内容
- 数量
- 単価
- 金額
- 適用税率
- 支払い条件
突合の4ステップ
- 発注書との照合
- 納品書との照合
- 契約書との照合
- 過去履歴との比較
効率化のポイント
| 従来 | AI活用後 |
|---|---|
| 全件目視確認 | 例外だけ確認 |
| 表記揺れを手動修正 | 自動吸収 |
| 1件ずつ承認 | Enter連打で承認 |
AI活用で、毎月の「この請求書、誰の分だっけ?」という探し物から解放されましょう。